2021.12.25
解体工事|日誌#5
ついに工事がスタートいたしました。まずは母屋の解体から。
いよいよ工事が始まる高揚感と、緊張感が入り混ざった複雑な気持ちです。これまでとは打って変わって建主の立場となり、過去の住まい手さんは皆同じような気分だったのかと実感いたします。私自身、この建物に特に思い入れはございませんが、建物が壊されていく瞬間というものは、何となくいたたまれない気持ちにもなります。
一昔前は、ショベルカーなどの重機を使い一気に解体していましたが、今は細かく分別を設定され、作業は全て手作業で行います。時間と労力がかかるのですから、その分、費用にも反映されるわけです。
当初、一週間ほどを予定していた解体工事は、僅か2日で完了しました。造る苦労を知っているだけに、呆気なく解体されてしまう現実に、少し寂しさを覚えます。思い入れのない建物でもこれだけ考えさせるのですから、実際にそこに住んでいた方にとっては、身をもって感じることでしょう。
解体時に、たくさんの大谷石が出てきました。栃木では結構珍しい話ではなく、古い民家だと基礎に大谷石が使われていることが多々あります。こちらはデッキの脚やアプローチで再利用を考えています。新品とはまた違った、古材ならではの風合いが素敵です。
解体を無事に終え、これから本工事に移るわけですが、よそ者である私たちが移り住み、ご近所様に少しでも受け入れていただくためにも、この地に建てさせていただく責務を強く感じました。住まいづくりは景観づくりでもあるため、しっかりと心得ていきたいと思います。
ヒロ 拝