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大切な想いconcept

建築流儀

住まい手×設計者×職人

設計者は住まい手の思い描く理想の代弁者であるべきと考えます。
現在どのようなライフスタイルなのか、新しい住まいではどう暮らしたいのかを汲み取り、整理しカタチにしていく。実際に住まう人がいるのだから、建築物だけの評価ではなく、あくまで住まい手ありきだということを忘れてはなりません。住まい手は建築に対して初心者ですが、その土地に住まう暮らしのプロに当たり、設計者は描き手、職人さんは作り手に当たります。そこにヒエラルキー(階級)など必要なく、それぞれが出来ることをする。互いの関係性を尊重し合うことが、住まいづくりにとって非常に重要なことだと思うのです。三位一体になってひとつの目的に合わせて突き進むのみ。
住まいづくりはとても素敵なことですよね。だから私は何人たりとも先生と呼ばせません。住まい手さんがいらっしゃらなければ存在価値はないのですから。

現場から学ぶ

私たちはよく現場で職人さんとディスカッションを行なっています。デザインのプロではあるけれど、カタチにすることは出来ないわけで、いわば机上の空論であり、図面上の線では可能だけれども、現場では通用しないこともしばしば。ですが、職人さんのいいなりになっては、せっかくのデザインが破綻してしまう恐れがあります。
そこで大切になってくるのが、互いの知識を持ち寄った話し合い。どうすれば図面のような納まりになるのか、機能するのかをじっくりとお互いが納得するまで話し合う。プロの集団が集まっているのですから、その知恵を出し合う事が大切であり、結果的に互いの知識となり、スキルアップにも繋がる。現場は常々勉強になります。 所詮は人間同士。もの作りに皆で参加し、意識を共有した住まいづくりは本当に楽しいのです。ですから私にとって職人さんは誇りであり、宝そのものです。そこにヒエラルキー(階級)など必要ございません。


くの字の平屋の存在

この家の存在は僕にとってターニングポイントとも呼ぶべき作品と言えます。
実は…と隠すほどではないのですが、母夫婦が住まう家として設計させていただきました。
当然好き勝手やらせてもらうわけにはいかず、しかしながら多少の無理は容認してもらったり。
クライアントの素性を設計者である僕が一番の理解者であったことが、ターニングポイントと呼ぶにふさわし点。住まい手が声を出して望むもの、密かに望まれているもの、自信すら気付いていない要望、スタイル。今の生活スタイルからの将来性云々。
設計には土地や住まい手さんの要望からの情報のみならず、今までの経緯や話しきれない意図を汲み取る作業がとても大切。そしてそれをおおよそたった半年程度の設計期間で互いにひけらかさねばならぬのですから、案外と設計って技術屋ではなくサービス業なのでは?と思うほど。
そしてこの家については上記のようなことが常に念頭に置かれながら設計に臨みましたから、このように大変満足のいく結果としてカタチになっているのだなと、痛感したのでした。
住まい手さんが夢に描く理想の住まいと、僕ら設計者のこの土地でやりたい住まいを融合させるだけでなく、実はその内情にのみ設計における大きなヒントが隠されていると気付かされたのです。だからこそ僕は「人を知ることから始まる住宅設計」を心掛けることができるのです。
その重要性を今作品を通して学ばせていただきましたのでした。

作品集|くの字の平屋