Restaurant Le 703(Naomi OGAKI)
フランス風ではなく、本当にフランスです笑
同い年ということから意気投合してから早10年。とうとう店舗を任せてもらえるほどに関係は発展。しかもパリ進出のきっかけで。彼(Naomi OGAKI)はフランスの各所で11年修行から凱旋し、宇都宮で開店して8年。フランスへの想いはその間も尽きることなく、満を持してこの日を迎えました。
パリに立つのは私自身初めてでしたから、設計のイメージを膨らませるため、彼にフランスを案内してもらうことから始まり、文化や人の特徴など、様々な方面からフランスという国を眺めました。伝統を重んじる国であることは理解しておりましたが、案外と新しいことへの関心を持っている、そして日本に好意を持っている。この2点を皮切りに、デザインのアウトラインを組み立てました。
フランスのビストロやレストランではまだ珍しいカウンターを採用し、オープンキッチンとすることで料理のエンターテイメント化を図り、お客様とのコミュニケーションを促す仕組みとして構築。格式高いレストランではなく、気軽にフレンチとワインを楽しめるガストロノミーですから、そのカジュアルさをどこまで上品に仕立て上げるか、その加減が肝となったように思います。
使用する素材はあえて日本から持ち込まずに、パリ郊外のホームセンター(フランス人のDIYレベル高し‼︎)から調達し、フランス人の眼に馴染みよい感覚を用い、日本人シェフだからという境界線の払拭を謀ります。
基本的にはフランス人が店内にひしめくわけで、それは日本の店舗の在り方とはまた一線を画す様な、滞在中あらゆる店舗にて肌で感じておりましたから、この感覚を大切にした設計です。伝統継承からくる肌感と申しましょうか、空気感と申しましょうか、決してそれを裏切ってはいけない使命感と申しましょうか…。むしろ長らく日本人が忘れている感覚を呼び覚ましていただいたような気分に浸っております。