2019.04.10
現代版ハイジの家|竣工写真
過日お引き渡しをさせていただいた「現代版ハイジの家」の竣工写真を撮って参りましたのでアップいたします。
今作はなんだか難しく、思った様な、実作の雰囲気があまり出せず不甲斐ないところもあるのですが…遠目でご覧ください(笑)
春うららかな季節で撮影日和でした。
写真はツツジ。
外観は変則L字型のプロポーション。
ファーストプレゼンから変更になった点と言えば、縁側が変更になったのと、裏の母屋とのつながりを意識して玄関を通り土間形式に変更した程度。
上棟間近に伊礼さんと足を運んだ沖縄にて体験した深い軒の“アマハジ”からインスパイアされて当初より軒を延長。
それに伴い外部に柱を連続して追加しております。
奥には母屋へと繋がっていきます。
LDKと寝室の分断としても活躍。
絶妙なタイミングでトラジ(猫)が!!笑
キッチンの延長がダイニングテーブルを兼ねています。
あえて見せた梁は構造の見た目的な安定感と猫の通り道。
開口は左右に振り分け。
母屋に住まうご両親との程よい距離感に一役買います。
開ければ気持ちいいかも知れませんが、視線が気になって結局開けられないのであれば本末転倒。
開口ひとつといえど「生活」をイメージすることが設計にはとても大切なのです。
これには住まい手さんもご満足頂いています。
通常のL→D→Kではなく、DからのKからのL。
「段段段」がおおよそこんな感じでうまくいったものですから、僕なりに定番化していきそう。
キッチンのタイルは毎回僕がご夫婦をイメージしてチョイス。
普通はカタログを渡されて選べるのでしょうけれど、設計しているのは僕で、イメージできるのは僕しかおりませんから、当然の責務とも言えると思います。
若干横柄な言い方かも知れませんが、そこまで責任を背負うと言うことと捉えてください。
もちろん最終決定はしてもらって…ないかも(笑)
ハイジ(犬)の定位置だそう。
右手に見えるにじり口は薪ストーブを設置した“暖の間”へと続きます。
実はトラジも定位置。
この子達は本当に仲良しで、おそらくトラジの方は「吾輩は猫である」なんて思ってなくて、ヘタすると犬とでも思っているのではないかと思うほど。
動物は本能的に心地が良い場所を知っています。
一段下がった暖の間。
天井も一際低く、穴蔵に潜り込む様な、とにかく居心地に徹した小さな空間です。
ソファは空間に合わせて造作。
こちらのお色は奥様をイメージして、これもまた僕の独断(笑)
寝室の障子。
このくらいの明かりが寝室にはちょうど良いかと思います。
寝具の直近には設けないのは、たまには遅く起きたい朝もございますでしょう?
ずっと一緒。
日が傾いてくるとこの子達も移動してくるのだそう。
薪ストーブに火を入れれば、奥様も加わりそこはただの溜まり場。
ご主人大好きハイジ。
今作は植木の生産農家を営む住まい手さん。
その畑の一角に計画いたしました。
二世帯住宅という選択ではなく、離れとして、分家として建築。
決して仲が悪いのではなく、むしろ良い方だと思うのですが、程よい距離感が大切な場合もございます。
平屋は住まい手さんからの唯一の要望で、後は僕のデザインを僕らの生活に落とし込んでください、との要望でした。
生活を知ること、人を知ることから始まる設計が僕の建築流儀ですから、お打ち合わせにはとてもお時間を頂戴したけれど、その分プレゼンは一発で快諾。
「ここまで飯田さんが僕らのことを理解してくれているなんて…」と、ご主人が涙。
そんなプレゼン後記、懐かしい思い出です。
デザインに関して言えば、犬猫との生活がひとつテーマとして掲げられ、それを平屋に仕上げる。
周辺環境は当然の様に樹木が豊かに生い茂り、隣地の視界を気にしなくて済むほどに広大。
故に縛りがないけれど、まるで高原…そう、ハイジ(アルプス)の様な環境だなと第一印象を受けたのです。
そこから現代にハイジがいたとして、家を建てたらこんな感じかな?と、若干本気で線を走らせたのでした。
決して派手ではないし、何か突飛に目立つアクセントもない。
けれど確かな、嫌味ない存在感が生み出せたのではないかと自負しております。
恒久的に耐えうる素材とデザインによって、長く受け継がれる住まいであるようにと願うばかりです。
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