2020.05.17
新作|内包する家
4作連続の平屋となります。しかもすべて親の敷地内という偶然。土地に費用が掛からない分、建築に費用が回せますし、敷地内ともなればその敷地は大概広い故、平屋一拓での設計となりました。これは郊外ならではの成せる業かと思います笑
多分に漏れず、こちらも双方(親世帯・子世帯)に対する配慮が必要となります。しかしながら「子はかすがい」とは良く言ったもの。プライバシーに配慮しすぎたあまり関係性は遠のき、孫の顔が余り拝めなくなってしまった。これではあまりにもお粗末かと思いますから、その点を配慮した上での設計となりました。
敷地条件や諸条件を整理した段階で中庭を囲むコの字という選択肢しか浮かばず、各セクションの関係性を組み立てていきました。窓の配置やヴォリュームにはいままで以上に労力を要したかも知れません。
コの字の利点は数多くありますが、その影にはもちろん欠点が生まれることも。囲うことで内包される反面、閉鎖的なイメージを持つこともありますし、陰湿な空気が漂ってしまう恐れもあります。対局する距離感とどのセクションを配置するのか、窓のヴォリュームと高さと互いの位置関係。検討に検討を重ね、時には簡易な模型を用いて更に検討。このスタディが設計を凝縮してくれるのです。
手前が北面道路となり、通りを歩く方にはおおよそコの字の家であることを彷彿させない佇まい。道路から玄関までにはあまり距離が稼げないため、アプローチには植栽の仕掛けが必要となることでしょう。この町との距離感が空間を豊かにしてくれる間合いとなります。
北面と西面は窓を最小限に抑えましたが、まだ検討の余地が残りそう。
南面から覗くと、屋根の掛かったデッキ部分がはみ出ているのが見えるかと思いますが、このはみ出しデッキによって庭で遊ぶ孫が垣間見られるため、東面にある親世帯の住居とを繋ぐ装置となるのです。
中庭の幅はおおよそ5m。太陽に対して角度を若干振ることで、朝日と西日の入り方を調整しています。
プライベートゾーンとパブリックを対局しているため、窓が交錯しないよう工夫している。
既に設計契約を済ませ、夏頃の着工を目指して準備中です。
のちほど設計のプロセスを紹介した動画をCOMODO CHANNNELにて公開致しますのでお楽しみに!!
-内包する家-
設計当初の段階で平屋は一拓。親世帯と子世帯の程よい距離感を保つため、コの字型とアウトラインを決め諸条件を整理していきました。コの字とすることで空間は内包され、適度なプライバシーが確保されるのと同時に、家に包み込まれるような、そんな感覚が生み出されることを期待して「内包の家」と名付けました。