2025.04.08
これからのいえ
設計コンセプト
資材高騰や少子高齢化に伴い、今後新築需要はさらに減衰していくのは明らか。
マイホームに夢を持つ世帯が消失することはないけれど、しかしながら現実としてコスト高騰は避けられない問題として立ちはだかり、諦めざるを得ない状況が続くことは免れないことでしょう。
そんな困難な局面を解消する最適解として導き出した答えを、今回発表する「これからのいえ」として表現してみました。
建築の基本コンセプトは、3 間×4 間(5,460×7,280)の総2 階建に、面積は24 坪強と決して数値的には大きくないけれど、家族4 人が決して窮屈になることなく住まえ、適材適所で十分なヴォリュームの収納量を備えた住まいとなります。
外部環境
敷地条件は同一敷地内にご主人のご両親が住まう母屋がありますが、余白的にはとても余裕があり、周囲には田園風景が広がります。西面道路から入り手前が建築地となり、奥が母家の配置。その建築地には植栽と石庭がありますから、それらを活かす配置と抜けを感じられる窓を配置することになるでしょう。交通量が多く日常の喧騒から免れないほどですから、そちらは注意事項となります。
外観はシンプルに切妻屋根を強調したラインとして見せたかったため、下屋を目立たせぬよう屋根のラインは消してしまいました。開口は東面にある日常の喧騒を呼ぶような道路からは一線を画し、また西面の母家からもあまり生活感を受けられないよう絞っています。しかしながら玄関はあえての西面に配置し、程よい距離感でのお付き合いになることを願っております。
内部環境
間取りは家族の居場所であるLDK を可能な限り広がりを持たせ、要望にあったキッチンの独立性は再現しているけれど、まるっきり孤立することなく、付かず離れずな、家族の気配を感じられる距離感で表現できたものと思います。また水回りは集約し、家事動線をコンパクトにまとめました。
さらにアナグラを備え、半個室的な意味合いを持ち、各個人が必要な気分の際に篭れるような空間として、小さな住まいだからこそ必要なセクションの役割として捉えます。
2 階は必要最低限の子供部屋とし、窮屈が故の落ち着きのある個室になったのではないかと思います。しかしながら物が煩雑になってしまうようでは居心地が悪いですから、ファミリークローク的な位置付けとして広めのウォークインクロゼットを設けています。
空調計画
だいぶ板についてきた空調計画ですが、今回も小屋裏エアコンを備え、しかしあえて床下エアコンはパス。アローファンによって空気を循環させる計画です。
住まい手の動線同様に、空気の動線とその流量を見据え、階段とリビングに吹き抜け、さらに小屋裏へと接続させることで、空気が澱みなく循環されることでしょう。
耐震計画
いつもながらですが、アクロバティックな間取りの計画をしておりませんし、また屋根はシンプルな切り妻としている故、構造計算が有利に働きます。構造材はそのほとんどに乾燥と強度管理がなされた日光杉(土台は檜)を使用しながら、吹き抜けのような負荷のかかるところには集成材を適宜採用。
家族の安心と安全をお守りいたします。
今作の「これからのいえ」が、美しくもかわいらしい日本の住まいのスタンダードになりうることを願いご提案させていただきます。
性能表示
基礎|ポリスチレンフォーム断熱材2種 t60(底盤t25)
壁 |セルローズファイバー /105mm/55kg/㎡
屋根|セルローズファイバー /250mm/55kg/㎡
空調|壁掛ルームエアコン
換気|第3種
断熱|UA値0.38

飯田拝
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お問い合わせ先
株式会社 COMODO建築工房
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